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叢雲塗の歴史と清水さんの叢雲塗との出会い

この資料は、昭和初期の変わり塗の技法を説明する資料で清水さんが持っている資料でこの資料は、昭和初期の変わり塗の技法を説明する資料で清水さんが持っている資料でこの資料には、50種類もの変わり塗が記録されていました。布目塗や刷毛目塗や目はじき塗などの割とメジャーな塗り方や蜻蛉塗り(せいれいぬり)や蜘蛛巣塗(くものすぬり)などのあまり知られていない変わり塗の技法などが紹介されていました。  

布目塗・・・漆塗りの一つで、下地の暴れを押さえるために布着せ(=布を貼ること)した後、中塗り、上塗りを薄めにすることで、あえて布目が表れるように仕上げ方法。  

目はじき塗・・・目はじき塗りは、木材の導管の内部に入っている空気が、塗面の漆をはじく のでこの名があります。 ケヤキ、クリ、タモ、センなど、導管の大きい素材を用い、その他の部分は漆 を吸わない状態にしてから上塗りをします。  

蜻蛉塗り(せいれいぬり)・・・蜻蛉(とんぼ)羽根のような模様に見えるため蜻蛉塗りと言います。漆に溶剤を混ぜたものを1滴水に落とし、水面に漆の模様が広がっているうちに器物に転写します。そのあとに金や銀粉を蒔くと蜻蛉の羽のように仕上がる。溶剤の薄め具合、水に落とす量、水面に漆を落とす高さによって模様がすべて異なります。  

私と叢雲塗の出会いは、山中の産地で11月に開催される木地師、塗師、蒔絵師の合同展示会でした。2018年展示会で清水さんが作った叢雲塗が展示されており、炎のように揺らめく模様がとても印象的でした。商品を叢雲塗で仕上げることができるか尋ねたところ快く引き受けてもらったのが始まりになります。  

叢雲塗は、「上塗りの後に和ろうそくから発する油煙を当てる変わり塗で黒雲のような模様を表す」という技法です。  

見ていると簡単そうに見えるのですが、実際に私が叢雲塗を体験したところ、炎がゆらぎ、自分の付けたい部分につかなかったり、すすが出たり出なかったりするので思うようにいきませんでした。  

和ろうそくでも、すすが出るものや出にくいものをあり、炎がゆらぎ、思う様に、模様を付けるのは難しいところでもあり、面白いところでもあるそうです。  

清水さんは、昔の資料から調べて自分で研究されたそうです。  

山中は戦後、漆が手に入らず、漆の代用であるカシュー漆で叢雲塗をしていましたそうです。本来変わり塗は蒔絵師の仕事で、山中でも多くの職人が叢雲塗をしていました。清水さんは諸先輩方から叢雲塗を教わり、今もその技術を受け継いでいます。  

 清水さんの歴史ある技術や変わり塗などを調べる探求心は、ただただ尊敬で、  そういった方がいるからこそ、昔から続く技術を今、目の前で見ることができることはとても幸せなことです。 

浅田明彦

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