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リム付きのパスタ皿『栓 ウッドプレート』

入社して初めて商品開発を行った漆器づくり

私、浅田明彦が京都伝統工芸大学校や山中漆器産業技術センターを卒業後、浅田漆器工芸に入社して初めて商品開発を行ったのがリム付きのパスタ皿である【栓 ウッドプレート】です。

売れる商品づくりと言ってどんなものを作ればいいのかイメージが付かず、まずは自分が好きなパスタやカレーに合う器を作りたいという単純な動機から始まりました。

漆器というとお椀やお盆といった伝統的な品物が多い中、若い方にも漆器を取り入れられる商品を作り、食事が楽しくなるようにと開発当時はリム付きの皿は少なく、このデザインなら軽くて使いやすく、持ちやすいのではないかと木地師の方と相談し、2年をかけて仕上がりました。

この器は横木取りという板の状態から丸くくり抜く製材方法で、お盆やお皿などは基本はこの横木取りで仕上げることが多く、様々な木目や綺麗な木目である杢(もく)が出ることがあります。

2018年にはリムの部分にメタリック塗装で仕上げたところ若い世代の方にも可愛い!キレイ!と言った声を聞き、プレゼントなどの贈り物にも喜ばれる商品となっております。

若さは、枠にとらわれない。「パスタやカレーが好きなので、それに合う器を考えようと思った」と、動機はいたって単純だ。しかし、既成の枠組みにとらわれていては、漆器で洋食器を作る発想は出て来ない。食卓ではなくダイニングテーブル。一汁三菜ではなくパスタやチャーハンやサラダ。そんな現代の食事情に溶け込む「洋漆器」。

パスタ皿は、どこも滑らかな曲線を描くフォルムで構成されている。手にしたときにしっくりとなじむ玉縁の“R”の加減、料理のシズル感を引き立てるマットな質感など、使いやすさをどこまでも突き詰めた。カップには、櫛目のような筋。これは、テーブルに手を置いて持った時に中指が当たる部分に引いてあり、すべりにくいというメリットを生んでいる。スプーンの丸みはパスタ皿の曲線にぴたりと合い、最後のひとすくいまで気持ちよく食べられる。

「使いやすいデザインこそかっこいい」という浅田さん。今の住空間やファッションの傾向などを頭に入れながらデザインを考え、どんな料理も受け止める懐の深い器が完成した。誰もが心地よく使える「かっこよさ」が彼の信条である。

(石川県デザインセンターより引用) 

真っ先に取り組んだのが、パスタ用のプレートだった。実は、研修所での修業時代、そのベースとなるプレートをつくっていた。リム(皿の縁にあるつば)も高台もないサラダボウルのような形だったが、そのイメージをどのように商品化していけばいいのだろうかと考えながら臨んだのが、石川県が主催する「提案力育成講座」だった。

 講座ではまず、コンセプトやターゲットなど、商品づくりの骨組みを学んだ。つくってから誰に売ろうかと考えるのではなく、どういう人に向けてアピールし、買ってもらうのかを最初に考えるべきという鉄則を学んだ浅田専務は、30~40代に照準を定め、本格的な試作に取りかかった。

 まず、ラフスケッチを図案にし、方眼紙に実寸で起こす。それをもとに、木地師に木地を挽いてもらいながら形状を確認し、微妙な調整をする。その繰り返しだったが、途中で形や大きさなど、根本的なデザインを何度も見直すことになった。

 最初のデザインは、リム部分を含めた直径が30㎝ほどある大皿で、さらにリムの縁がせり上がっていた。「大きすぎて使いにくいうえ、デザイン的にも良くない」と、デザイナーのアドバイスのままに修正した次の試作品は、少し小ぶりにした直径24㎝。リム部分を約5㎝と、やや幅広にとった。スタイリッシュなプレートになったが、パスタなどの料理を盛る中央部分が小さくなりすぎ、普段使いに向かないものになってしまった。「何か違う……」と、3度目は自ら考え、悩みながら試行錯誤を重ねた。

 とくにこだわったのが、縁の薄さだった。最終的に5㎜になるまで妥協せず、木地師と二人三脚で納得のいくプレートに仕上げた。それが、直径24㎝、高さ3・5㎝、リム部分4㎝という形状にして、わずか150gという現在のかたちだ。

 改良したのはデザインだけではない。手にしたとき、もちやすさを左右する高台の外側部分を、緩やかなカーブから角度をつけた急カーブに変えたり、実際に使ったうえで、リムの端に玉縁を付けることによって指でもちやすくするなど、美しさと実用性の両面からブラッシュアップを続けた。苦労の末、浅田専務が商品化したウッドプレートは、同社の新しい顔として発表、発売された。
 
 「斬新だね」「ものすごく軽い」「木でできているなんて驚き!」など、あちらこちらで高評価の声が聞かれた。この軽さと薄さは木地師のなせる技でもある。

月刊「商工会」2016年10月号、P33~35、発行元 全国商工会連合会
名品物語 GOOD PRODUCT STORY vol.5 有限会社浅田漆器工芸(石川県加賀市)より引用

http://www.nippon-furusato.jp/I0000107

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